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部分矯正で歯肉退縮は起きてしまうの?
全体矯正や部分矯正によって歯並びを整えることで得られるメリットは非常にたくさんあります。しかしそれによって伴うデメリットもいくつかありますが、その中でも「歯肉退縮」について不安な方も多いのではないでしょうか。今回は部分矯正でも歯肉退縮は起きてしまうのかどうかについてお話をいたします。
歯肉退縮とは?
矯正治療や部分矯正での治療を考える際に知っておきたいリスクとして「歯肉退縮」が挙げられます。歯肉退縮とは、歯ぐきが下がって歯が長く見える、歯と歯の間に黒い三角形のように見えるブラックトライアングルが発生してしまうといった状態を言います。歯肉退縮が起きると口元が痩せて見え、矯正前よりも年齢を重ねて老けた印象を与えてしまうなど、見た目に影響を与えてしまいます。
歯肉退縮に伴うリスクについて
歯肉退縮における影響は見た目だけではありません。矯正治療や部分矯正によって歯肉退縮が起きることで、いくつかのトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。では歯肉退縮が起こると、どのようなトラブルを引き起こしてしまうのでしょうか。
1.知覚過敏
知覚過敏とは、冷たいものがしみる症状を言います。歯肉退縮が起きてしまった歯は歯の根元が露出している状態になっています。歯は固いエナメル質で覆われていますが、歯根はエナメル質がなく、象牙質やセメント質によって構成されています。象牙質の下は痛みなどを感じる神経があり、冷たいものなどの刺激がダイレクトに伝わってしまいます。知覚過敏は冷たいものだけでなく、歯ブラシの毛先が触れるだけで強い痛みを伴い、日常生活が苦痛に感じてしまいます。
2.歯根のむし歯
上述したように歯の根元はエナメル質がありません。そのためむし歯になった際に進行が早くなってしまいます。歯の根元が茶色く変色していたら、むし歯になってしまっているかもしれません。
また神経や歯根に近いため、むし歯が重症化しやすく最悪の場合、神経を取る治療が必要になることもあります。
3.歯周病の悪化や歯の動揺を招きやすくなる
歯肉が退縮すると歯周組織に過度な力が加わり、歯周組織に炎症が起きてしまいます。この状態も歯周病と呼ばれています。歯肉退縮による歯周病が起こると歯を支える歯槽骨が吸収されて歯を支えることができなくなり、歯がグラグラと揺れ動いてしまいます。
このように歯肉退縮が原因で歯周病の発症、歯の動揺および症状の悪化を招きやすくなります。
歯肉退縮が起こる原因とは?
矯正治療や部分矯正によって歯肉退縮が起こるのには、根本的な原因が考えられます。歯肉退縮は通常、加齢とともに起きる自然現象でもありますが、加齢以外に起こる原因として次のようなことが挙げられます。
1.歯槽骨が薄い
歯槽骨が薄い方は、歯肉退縮が起こりやすいと言われています。矯正治療前から歯周病になっている方は骨吸収が起きているため、歯周病になっていない方に比べて歯槽骨が薄くなっている傾向があります。また噛み合わせや歯を強くぶつけたときに起こる外傷性咬合という状態も歯槽骨が薄くなっていることがあります。
部分矯正は前歯に力を加えて歯を動かすため、歯槽骨が薄い方はより歯肉退縮が起こるリスクを伴うと考えられます。
2.矯正中における歯周病の悪化
矯正中はむし歯だけでなく歯周病になるリスクが高まります。矯正装置を付けていることで歯磨きがし辛く、プラークが溜まって細菌が活動しやすくなります。そのため歯肉炎から歯周病へと進行しやすくなり、歯槽骨が吸収され薄くなってしまいます。
3.装置に汚れが残り、お口の中の衛生環境が悪い
ワイヤー矯正の場合、マウスピース矯正に比べると非常に歯磨きがし辛く汚れやプラークが残りがちになります。その結果お口の中の環境が不衛生になり、歯周病菌が活動しやすい環境になってしまいます。またマウスピース矯正でも歯磨きがきちんとできていなければ歯肉炎や歯周病を引き起こし、歯槽骨吸収の原因になってしまいます。
4.強すぎるブラッシング
矯正中に歯磨きにならないよう、頑張って歯磨きをした結果歯肉退縮を引き起こしてしまうことがあります。頑張って磨いているのに歯肉退縮が起きるとショックを受けてしまいますが、それは間違ったブラッシングにより歯肉退縮を引き起こしたと言えます。ゴシゴシと乱暴に歯ブラシを当ててしまうと歯ぐきが傷つき、歯ぐきが下がる原因に直結してしまいます。
歯肉退縮?と思ったらどうすればいい?
では全体矯正や部分矯正を行っているときに歯肉退縮が起きてきたかもと感じた場合、どうすればよいのでしょうか。
・歯科医師に相談する
歯肉退縮が起きているかも、と思い始めたらまずは担当の歯科医師に相談しましょう。原因が歯周病の進行の場合は歯周病の治療を行うことで悪化を防ぐことができます。また口腔衛生指導なども行われますので、まずは歯科医師に相談して下さい。
・矯正装置を清潔に保つ
矯正装置を清潔に保つことはお口の中の衛生管理に繋がります。マウスピースの場合は毎日専用の洗浄剤に漬けて雑菌を取り除きましょう。ワイヤー矯正はマウスピースと比べて装置の管理が難しいため、ワンタフトブラシや歯間ブラシなどのアイテムを使い、入念な歯磨きを行うようにしましょう。ゴムもまめに取り換えるなど、常に装置の清潔を心がけてください。
・装置の不具合をそのままにしておかない
ワイヤーやマウスピースといった矯正装置が合わない場合、そのままにしておくことで歯肉に負担をかけてしまいます。特にマウスピースの辺縁不良が歯肉退縮を招いてしまうことがあります。歯の動きの痛みではなく、装置による歯ぐきの痛みは歯肉退縮の原因になるためすぐに受診しましょう。
矯正治療中は歯周病予防をしっかりと行いましょう
このように、矯正治療や部分矯正を行った結果歯肉退縮が起こり、矯正治療をしたことを後悔する方もいらっしゃると思います。特に前歯の歯槽骨は臼歯部に比べて歯槽骨が薄くなりやすいため部分矯正をお考えの方は要注意です。
せっかく行った矯正治療で歯肉退縮が起こり後悔しないためにも、矯正矯正治療中はしっかりと歯周病予防を行うことが大切です。