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前歯の歯並びを治すには、部分矯正かセラミック矯正どっちがいい?
前歯の歯並びの乱れを治したい方は、「早く・低価格で」というご希望をお持ちの方が多いのではないかと思います。前歯の歯並びを治す場合、症例によっては部分矯正が適応となりますが、より速さと低価格を求めてセラミック(補綴)矯正を希望される方もいらっしゃると思います。では前歯の歯並びを短期間かつ低価格で治療する場合、部分矯正かセラミック矯正のどちらが適しているのでしょうか。
部分矯正のメリット・デメリット
矯正治療は一般的に奥歯も含めた歯全体を動かして歯並びや噛み合わせを改善していきます。ただ全体矯正の場合、費用が高くなり、治療期間も年単位にわたり治療が行われます。全体矯正は歯と歯の重なりが重度であったり骨格に原因があるなど、抜歯を行って歯を動かしていきます。
これに対し部分矯正は、前歯だけを気になる動かして治療を行い、お悩みを改善する方法です。では部分矯正のメリットとデメリットをご紹介します。
部分矯正のメリット
1.短期間で治療を終えることができる
全体矯正は2~3年という長い治療期間が必要になりますが、部分矯正は前歯だけを改善するため全体矯正と比べると治療期間を大幅に短縮することが可能です。症例にもよりますが、半年~1年くらいで治療を終えることができます。
2.費用を抑えることができる
全体矯正は使用する装置にもよりますが、非常に高額な費用が必要となります。いっぽうの部分矯正は全体矯正と比べてかなり費用を抑えることができることが大きなメリットです。
3.抜歯をしない
部分矯正は抜歯をしない症例に適応となります。その分患者さんの負担が少なくて済みます。ただ歯を動かすすき間が必要になるため、歯と歯の間を削る処置が行われます。
セラミック矯正とは?
前歯の矯正治療について調べているうちに「セラミック矯正」という方法を見つけた方もいらっしゃるのではないかと思います。セラミック矯正はスピード矯正と呼ばれることもあり、セラミックの被せ物を使って歯並びや歯の傾きを治す方法です。
セラミック矯正ってどんな矯正治療法?部分矯正よりも良いならセラミック矯正をしてみたい、とお考えの方に、まずはセラミック矯正についてお話をしたいと思います。セラミック矯正をお考えの方はまずこちらを参考にしてみて下さい。
セラミック矯正とは、部分矯正と同じで主に前歯の歯並びの改善を行う治療法です。セラミックを使った数本の繋がった人工歯をご自身の歯に被せる、という方法で部分矯正よりもさらに治療期間を抑えることが可能です。費用は部分矯正とだいたい同じか、少し抑えられる程度です。
このセラミック矯正ですが、「早い・安い・綺麗」と3拍子揃った魅力的な治療法に思えるかもしれません。しかしセラミック矯正はその魅力よりもデメリットやリスクのほうが大幅に上回るのをご存じでしょうか。
1.天然の歯をたくさん削る「勿体なさ」
セラミック矯正は、「健康な歯をたくさん削ってセラミックのブリッジを嵌める」という方法です。むし歯ならともかく、健康な歯をたくさん削るということは、非常に勿体ないことです。持って生まれた健康な歯は、いちど削ると二度と元に戻すことはできません。どんなに精巧に作られたセラミックの歯でも、天然の歯にはかなわないのです。
2.むし歯や歯周病のリスクが上がる
どれだけ精巧に作られても、セラミックブリッジと歯ぐきの間にわずかな段差が生じます。この段差にプラークが付き、むし歯や歯周病のリスクが上がってしまいます。セラミックの歯はむし歯にならないのでは?とお思いになるかもしれませんが、確かに人工歯はむし歯にはなりません。その下の、削ったご自身の歯がむし歯になるのです。むし歯になると、被せてあるセラミックの歯を全て外し、むし歯の治療を行わなければいけません。根管治療が必要なケースになると、再度セラミックの歯を作り直す必要があるうえ、ご自身の歯もどんどん少なくなってしまいます。
また歯周病になると、歯ぐきの腫れだけでなく歯を支える歯槽骨が吸収され始めます。症状が悪化して歯槽骨の吸収が進むと、セラミックブリッジを支えているご自身の歯がグラグラして最終的に抜け落ちてしまいます。そうなると、セラミックブリッジを作り替えるか、入れ歯などといった補綴治療が必要になります。
このように、セラミック治療を終えたばかりでは考えられない怖いリスクを併せ持つことを知っておく必要があります。
3.セラミックは一生持つものではない
むし歯や歯周病と関連しますが、セラミック矯正で装着しているセラミックブリッジは一生持つものではありません。セラミックが壊れた、歯周病で歯ぐきが下がって自分の歯が見えているから作り替えたい、といった場合、最初と同じ費用が必要となります。またむし歯治療や歯周病治療が必要となった場合、余分に費用がかかり結局は部分矯正や全体矯正と費用が変わらなくなってしまうかもしれません。
部分矯正や全体矯正は治療を終えてケアをしっかりしていれば、一生維持することができますが、セラミック治療は再治療を前提とした治療法であることも理解しておきましょう。
よく考えて、自分に合った治療法を選択しましょう
部分矯正とセラミック矯正の比較をいたしました。どちらも短期間で費用を抑えて治療をすることができますが、セラミック矯正は歯を動かすことはありません。したがって「矯正」という括りで考えず、矯正とは違う治療法、というふうに捉えるほうが良いでしょう。
とはいえ、ご自身がご希望する治療法もあるかと思います。両者の違いをよく理解したうえで、どちらの治療法が良いか、専門家に相談してみましょう。