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大人が歯の矯正をするメリットについて
歯並びの状態が見た目やお口の健康に大きく影響することから、矯正治療に対するニーズが年々高まっています。特に成人の方の矯正治療に対する意識が大きく変わり、大人になってから矯正治療を始めたいと考えている方が増えています。そこで今回は、大人が矯正治療を受けることで得られるメリットについてお話をしたいと思います。
成人の方に起こりやすいお口のトラブルとは?
歯のトラブルの代表と言えば、いちばん初めに浮かぶのがむし歯ではないかと思います。しかし成人の方が気を付けなければいけないのは、むし歯だけではありません。むし歯と並んで歯を失う原因となるのが、歯周病です。
歯周病は、歯周病菌によって歯を支える歯周組織に炎症が起きる病気で、自覚症状をあまり感じないまま進行し、最終的には歯がグラグラして噛むことができなくなります。
歯周組織とは、歯ぐき、セメント質、歯槽骨であり歯を支えるための大切な組織です。むし歯は歯そのものが溶けてしまいますが、歯周病は歯そのものが悪くなるのではなく、歯ぐきに炎症が起きるため、炎症が広がることで顎の骨まで溶けていく怖い病気です。
むし歯は小さなお子さんや思春期といった年齢でよく起きますが、歯周病にはほぼなりません。同じ歯ぐきが腫れる症状として歯肉炎が挙げられますが、顎の骨にまで炎症が及ぶことはほとんどなく、歯周病まで進行はあまり見られません。しかし成人になると歯肉炎から歯周病へ進行しやすくなり、30代以降の多くの方は気づかない間に歯周病になっている方がほとんどです。
そして年齢を重ねるにつれて歯を失う原因はむし歯ではなく、歯周病となってしまうのです。
歯周病になる原因について
歯周病は、お口の中が不潔になっている状態が続くことで起こります。成人以降のほとんどの方のお口の中に歯周病菌が棲みついているため、発症リスクは誰でも持ち合わせています。そして同じような条件でも、歯周病になるかならないかはお口の中の状態によると考えられるでしょう。その主な原因を挙げてみます。
1.歯磨き不足によるもの
歯周病の原因は、歯磨き不足によるものです。磨き残しの部分にプラークや歯石が溜まり、そこへ歯周病菌が棲みついて毒素を出して歯ぐきの炎症を引き起こします。お口の中の環境の良い悪しが、歯周病の発症を分けると言っても良いでしょう。
2.歯並びの悪さによるもの
歯磨きのし辛さの要因は、歯並びにも起因します。歯列が整った人と、歯と歯が重なってガタガタした歯並びの人では、当然歯並びの悪い人のほうが歯磨きがし辛い環境です。どんなに時間をかけて一生懸命歯を磨いても、どうしても汚れが残り、プラークや歯石が付きやすくなってしまいます。その結果、歯並びの良い人と比べるとどうしても歯周病発症リスクが高まるのです。
下の歯並びが悪くなる原因とは?
歯並びの悪さ、特に歯と歯が重なっている「叢生」という状態は、歯周病リスクがぐっと高まってしまいます。歯並びの状態によってはフロスも通しにくく、常に汚れが残っている状態となり細菌が棲みつくには最適な環境となってしまいます。
特に顕著にみられるのが、下の歯並びです。上の歯並びはそれほど悪くないのに、下の歯並びだけガタガタ、という方は非常におおいのではないでしょうか。下の歯並びが悪くなる原因は、顎の大きさと歯の大きさのバランスが悪いことで起こります。特に最近の方は食生活の変化に伴い、柔らかいものばかりを食べることが多いため、昔の方に比べると顎の発達が劣っているように思えます。
顎が小さく歯が本来のスペースに収まらないため、歯並びがガタガタになり、プラークや歯石が溜まって歯周病へと進行してしまうのです。
歯周病になると歯ぐきが下がるという特徴も出てくるため、下の歯が長くなったように見える場合、歯周病が知らない間に進行している可能性があるかもしれません。
大人の矯正治療のメリットについて
では成人の方が矯正治療を行うことで、どのようなメリットを得ることができるのでしょうか。
1.見た目を美しく整え、若々しい口元を作り出す
口許は年齢が現れやすいパーツです。矯正治療を行うことで歯列を改善し、口周りの筋肉のバランスを整えることで若々しい口元に見せてくれます。
2.むし歯や歯周病リスクを低減させる
歯並びの悪さはむし歯や歯周病といったトラブルの引き金になります。特に歯周病は最終的に歯を失うリスクが高いことから、歯並びを整えることでそのリスクを低減させることができます。
全体矯正や部分矯正で歯並びを改善し、歯周病リスクを軽減させることができます
成人の方の矯正治療への興味は、見た目を改善することももちろんですが、むし歯や歯周病のリスクを回避するものではないかと思います。特に40代50代になると、意識が見た目よりも歯の健康に向いてくるのではないかと思います。
しかし、「矯正治療は小さい子や若い人がするものなのでは」「こんな年齢から矯正治療をする人なんていない」と矯正治療に対して躊躇する方もいらっしゃるのではないかと思います。
歯を失う原因が歯周病で、その要因となっているのが歯並びの悪さだった場合、矯正治療でそのリスクを低減させることは十分可能です。また部分的な歯並びの悪さは部分矯正という、前歯だけを治す方法も選択肢として考えられます。
既に歯周病になっている方でも歯周病治療をきちんと行い、矯正治療や部分矯正が行える状態に改善させることも可能になるかもしれません。
部分矯正は前歯のみに特化した局部的な矯正治療で、奥歯の噛み合わせに問題がない場合に適応できますが、噛み合わせに問題がある、歯のガタガタ具合がひどい場合は全体矯正となることがほとんどです。いずれにしても歯並びの悪さをそのままにしておくと、歯周病の進行に加担してしまう要因となります。
歯は失ってはじめてその貴重さを痛感するものです。決して小さい子どもや若い方だけが行うものではありません。歯周病の進行の原因の一端を歯並びの悪さが担っているのであれば、歯の健康を考慮した矯正治療や部分矯正を考えてみるのはいかがでしょうか。