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部分矯正でも歯の痛みは感じるのでしょうか?
矯正治療は矯正装置を使って歯に力を加えるため、歯が動く際に痛みを感じることがあるため、痛みに対して不安を覚える方もいらっしゃるのではないかと思います。部分矯正の場合、前歯だけを動かして前歯の歯並びを整えますが、部分矯正でもやはり痛みを伴うのでしょうか。今回は、矯正治療における歯の痛みについてお話をいたします。
矯正治療における歯の移動と痛みが起こる理由について
奥歯から歯を動かす全体治療や部分矯正をする際、不安になるのが「歯の痛み」ではないでしょうか。全体矯正や部分矯正は、矯正装置を使って歯に力を加え、歯を移動させていきます。ワイヤー矯正はワイヤーを調整し、マウスピース矯正ではマウスピースを交換しながら歯を動かしていきますが、その際には痛みを伴うことがほとんどです。
では矯正治療で歯を動かすと、どうして痛みが起こるのでしょうか。まずはその仕組みをご説明します。
歯ど歯を支える歯槽骨の間には、歯根膜と呼ばれる組織があります。歯根膜の薄さは約0.2㎜で、歯にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割を持っています。
ワイヤーやマウスピースなどの矯正装置で歯に力を加えると、その力が歯根膜に伝わります。歯が動く側の歯根膜は縮み、反対側の歯根膜は逆に伸びます。
縮んだ側の歯根膜は元に戻ろうとする性質があるため、破骨細胞という骨を溶かす細胞を作り出し、動く方向の骨を溶かします。伸びた側の歯根膜も元の厚さに戻ろうとしますが、こちらは骨を作る骨芽細胞によって、骨が新しく作られます。破骨細胞と骨芽細胞の働きで歯根膜が元の厚さに戻り、この働きを繰り返しながら、歯が動いて歯並びを整えていきます。
矯正治療中の歯が動く痛みはどんな感じ?
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、上記の歯の動く仕組みによって痛みを感じやすくなります。ただ痛みの感じ方は個人差があり、「ものすごく痛くて食事もままならない」「思っていたほど痛くなかった」など、矯正治療中の方のお声は様々です。
痛みとしては、ジンジンする、ズキズキする、押される感じ、圧迫感といった表現が多いようです。むし歯の痛みとはまた違う、数本の歯がじんじんする、歯ぐきが痛い感じなどです。
歯が痛むのはどのくらいの期間?
歯が痛むのは、ワイヤー矯正の場合はワイヤー調整後、マウスピース矯正は、初めてマウスピースを装着したとき、そして新しいマウスピースに交換したときです。ワイヤー調整、マウスピース交換を行うことで歯を動かす方向へ力が加わるため、痛みとなって現れます。多くは3~4日ほど痛みが続くことが多いと言われています。
部分矯正でも痛みは感じるの?
では部分矯正でも歯の痛みはかんじるのでしょうか。部分矯正では、ワイヤー矯正もしくはマウスピース矯正で前歯の歯並びを改善する方法で、全体矯正と比べて費用も治療期間もグッと抑えることが可能です。
この部分矯正の場合でも、やはり歯が動く際の痛みは感じることがほとんどです。ただ奥歯から歯を動かす全体矯正に対し、部分矯正で歯を動かすのは主に犬歯から反対側の犬歯のため、痛みの範囲は前歯に限定されます。
また抜歯をしないため、大きく歯を移動させることはないため、全体矯正と比べると痛みは少しマシかもしれません。とは言うものの、やはり調整をした後、マウスピースを交換したあとは痛みを感じるため、食事が辛いという声はよく聞かれます。
痛みの少ない装置ってあるの?
矯正治療において、歯の動く痛みをゼロにすることは難しいです。矯正装置によって歯が動く以上、どうしても痛みは付き物ですが、その痛みをできるだけ軽減させる装置を選ぶことで、矯正治療中の痛みを緩和することができるかもしれません。その装置というのが「Tip-Edgeブラケット」および「セルフライゲーション」
Tip-Edgeブラケット
Tip-Edgeブラケットとは、歯に過度な負担をかけることなく、治療期間を短縮できるブラケットです。歯を平行に移動させるのではなく、歯の根っこを軸として傾斜移動を進めていく方法です。この方法は歯に弱い力を断続的に加えていくことで効率よく歯を動かし、痛みも最小限に抑えることが可能です
セルフライゲーション装置
ワイヤー矯正におけるセルフライゲーションというブラケットを使用することで、従来のブラケットを使ったワイヤー矯正よりも痛みを軽減させることが可能です。
従来のブラケットはワイヤーとブラケットを固定する際に、ゴムや結紮線を使用しますが、この方法はブラケットとワイヤーの間で摩擦が起こり、痛みの原因になります。
これに対しセルフライゲーションブラケットは、ブラケットにワイヤーを通すだけで固定される仕組みになっています。そのため必要以上の強い力がかからず、歯が動く痛みを抑えてくれます。
また歯を支える歯周組織に与えるダメージも少なくて済みます。歯の移動の際に起こる吸収と再生のスピードが理想的に行われるため、歯の動きも早くなるのもメリットのひとつです。
このように、Tip-Edgeブラケットやセルフライゲーションは、矯正中の歯の移動の際に起こる痛みに考慮した装置です。矯正中の痛みは避けられませんが、少しでも痛みが緩和される装置を選ぶことで、不安は和らげることは可能です。痛みが心配な方は、まず専門医に相談のうえ、ご自身に合った装置を決めていくとよいでしょう。