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部分矯正は歯周病予防にも関係する?
主に前歯の歯並びの見た目を改善する治療法である部分矯正は、実は歯の健康維持にも効果があるのを案外ご存じがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。前歯の歯並びを治すための部分矯正がなぜ、歯周病予防にも関係するのでしょうか。
部分矯正で治せる症例とは
部分矯正は、主に犬歯から反対側の犬歯、つまり前歯の歯並びの乱れを治す矯正治療法で、奥歯から全て動かす全体矯正と比べると、費用も治療期間もグッと抑えることが可能です。
ただ部分矯正の場合、抜歯を伴う症例や骨格が原因の症例、奥歯から動かさなければ改善が難しい症例では理想的な結果を得ることが難しいため、ごく軽度の症例のみに対応できるというデメリットも持ち合わせています。部分矯正で治せる症例としては、以下のとおりです。
・軽度の出っ歯
・軽度の歯のガタツキ
・抜歯を必要としない八重歯
・すきっ歯
・切端咬合
いずれも、奥歯を動かさず、抜歯も必要としない症例に対応できるため、ご自身の歯並びや噛み合わせが上記のような症例に当てはまると、部分矯正できれいに治せる可能性は高まります。
歯並びの悪さがもたらす歯の健康への悪影響とは?
様々な歯並びや噛み合わせの乱れのお悩みのうち、最も多いのが「ガタガタの歯並び」ではないでしょうか。この歯並びのガタツキは「叢生」と呼ばれる歯並びの乱れで、審美性を乱してしまいます。特に前歯は見た目的に目立つ部位のため、コンプレックスに感じる方がほとんどでしょう。
そしてこの叢生は、歯や歯ぐきへの健康にも悪影響を及ぼしてしまいます。その原因は、歯並びの悪さに伴う、歯磨きのし辛さです。
歯列が整っている歯並びの場合、歯の表面や歯と歯ぐきの境目もしっかりと磨くことができますが、歯と歯が重なっている部分は非常に磨きづらく、汚れが残りがちになってしまいます。また歯と歯ぐきの境目も上手く磨けず、プラークとなって歯に付着してしまいます。
その結果、むし歯や歯周病といったトラブルの原因となってしまうのです。
特に歯周病は成人の多くが罹患しやすいため、毎日の歯磨きは歯周病リスクを抑えるための基本です。きちんと歯磨きを行い、プラークコントロールができることが歯周病予防となります。
しかしガタガタの歯並びの方は、歯磨きのし辛さを痛感されているのではないでしょうか。歯と歯が重なっている部分や、八重歯で2番目の歯が後方へ下がってしまっている部分などはとても磨きにくく、プラークが付着しやすくなってしまいます。
そのため、歯ぐきがプヨプヨ腫れて歯磨き時に歯ぐきから出血しやすく、常に歯肉炎の状態が続いているの考えられます。歯肉炎がやがて歯周炎へと悪化すると、次第に歯槽骨まで炎症が広がり歯がグラグラしてきます。残念なことに、いちど歯槽骨が吸収されると、元に戻ることはありません。むし歯のように1本の歯だけで済まず、周囲の歯を支えている歯槽骨も減っていくため数本の歯がグラグラしてしまうところが、歯周病の怖さなのです。
また意外かもしれませんが、すきっ歯もむし歯や歯周病の原因になりやすい歯並びです。すき間の部分の汚れがきちんと取り除けないと、同じようにプラークが作られてむし歯や歯周病を引き起こしてしまいます。
出っ歯でお口がきちんと閉じれずに口で呼吸をする方も、むし歯や歯周病になりやすいと言われています。これは口呼吸によりお口の中が乾き、虫歯菌や歯周病菌などが活動しやすい口腔内になるためです。
このように、叢生やすきっ歯をはじめとする歯並びの悪さや不正咬合は、見た目だけでなくお口の健康を脅かすトラブルにも深く関わるのです。
部分矯正で前歯の歯並びを治す装置とは?
部分矯正で使用される矯正装置は医院ごとに異なります。またライフスタイルなどによっても選択する装置が違ってきますので、ご自身に合った装置を選びましょう。
・部分的なワイヤー矯正
ワイヤー矯正の場合、動かしたい歯のみ装置を装着します。表側に装置を付ける場合、さらに磨きにくくなるため時間をかけて丁寧に歯磨きをする必要があります。タフトブラシで磨きにくい部分を磨いたり、歯間ブラシを使ってブラケット周りに付いた汚れなどを丁寧に落としていきましょう。
・前歯だけを動かすが、奥歯まで覆うマウスピース矯正
マウスピース矯正は部分矯正であっても、歯全体をマウスピースで覆います。色々なメーカーから部分矯正用のマウスピース矯正が提供されていますが、いずれのメーカーも効果は変わらないでしょう。費用面や通いやすさから選ぶことが多いですが、きちんと通院して歯が動いているかどうか、歯科医師が確認する医院を選ぶようにして下さい。
部分矯正におけるワイヤー矯正、マウスピース矯正いずれも定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが、矯正治療中の歯のトラブルを防ぐことに繋がりますので、是非クリーニングは受けるようにすると良いでしょう。
見た目だけでなく、歯の健康を考えた部分矯正という選択肢
部分矯正は費用と治療期間を抑えて前歯の歯並びを治すことができるため、ニーズも多い治療法でもあります。しかし噛み合わせまでは治せない、適応できる症例が限られるなど条件が厳しめでもあります。しかし歯の健康を考慮すると、部分矯正で前歯の歯並びだけでも治すことは、その分歯に起こるリスクを減らすということに繋がります。部分矯正という選択肢は、前歯の見た目だけでなく将来的な歯の健康を考えた、メリットの多い治療法なのではないでしょうか。