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部分矯正を始める前に知っておくべきこととは?
「歯並びが気になるけど、前歯だけ治すことはできる?」「以前矯正治療をしたけど、前歯だけをもう少しきれいにしたい」など、前歯の歯並びはお口全体の印象を決定づける重要な部分です。このように、気になる前歯だけを治す「部分矯正」が注目を集めており、部分矯正で気になる前歯を治したいという方もたくさんいらっしゃることと思います。
今回は、そんな部分矯正を始める前に知っておくべきことについてお話をいたします。
部分矯正は前歯だけを動かす矯正治療
歯並びのお悩みは人それぞれ異なりますが、その中でも前歯に関してコンプレックスを抱える方は非常に多いのではないかと思います。というのも、前歯は口元の中でも最も大きな印象を与える部位であり、前歯の歯並びによっては「顔はとても可愛いのに口元が残念」「歯並びで損しているね」といった印象を与えてしまいがちになるからです。
歯並びの悪さを改善するには、矯正治療が最も効果的です。しかし矯正治療というと、費用が高い、歯に装置を付けるから日常生活が不自由、治療期間が長いなど、矯正治療に対して消極的になってしまうのではないでしょうか。特に前歯だけを治したいのに、全体的な矯正治療をするのはちょっと・・・と思われるのも無理はありません。
このようなお悩みを解消するのが、気になる前歯だけを治す「部分矯正」です。部分矯正は、歯全体を動かす全体矯正とは異なり、前歯だけを動かして気になる歯並びを改善する方法です。そのため全体矯正と比べて費用と治療期間をぐっと抑えることが可能です。また日常生活も全体矯正と比べると制限が少なく、過ごしやすいことが特徴です。
部分矯正で改善できる症例とは?
では次に部分矯正で改善できる症例を挙げてみましょう。
軽度の出っ歯
出っ歯にお悩みの方はとても多いでしょう。その中でも、歯が少し前へ出ている比較的軽度な出っ歯の場合、部分矯正にて改善が可能です。
軽度の歯のデコボコ
叢生と呼ばれるガタガタの歯並びは、口元の審美性を大きく乱してしまいます。部分矯正ではこの気になる前歯のデコボコを改善し、審美性を向上させることができます。
すきっ歯
歯と歯の間にすき間がある、いわゆるすきっ歯も部分矯正で改善が可能です。特に前歯にあるすき間はとても目立つため、部分矯正で改善することで審美性をぐっと回復することができます。
その他の症例でも、大きく歯を動かす必要がない場合は部分矯正で対応できる場合があります。
ただ部分矯正は前歯だけを動かすため、全ての歯並びのお悩みに対応できるわけではありません。そのため自分の理想とする歯並びに必ずしも近づけるかというと、そうではないこともあります。
後悔しないためにも、部分矯正を始める前に知っておくべきことについてお話を続けてまいります。
部分矯正で改善できない症例とは?
部分矯正は、歯全体を動かすことはできません。そのため症例によっては無理に部分矯正を行っても理想とする歯並びに近づくことができず、中途半端な仕上がりになってしまう可能性があります。では部分矯正で改善ができない症例についてご紹介しましょう。
骨格が原因の出っ歯
出っ歯でも、歯だけが前に出ている場合は部分矯正で改善が可能です。しかし骨格全体が前に出ている場合、部分矯正では改善が期待できません。場合によっては外科処置が必要になることもあります。
重度の受け口
受け口は基本的に全体矯正を行い、下顎を後方へ下げて奥歯の噛み合わせを整えるため部分矯正での改善は難しいとされています。特に骨格が原因の場合、外科矯正が必要と診断されることがあります。外科矯正後は全体矯正を行うため、部分矯正では対応できません。
抜歯を必要とするガタガタの歯並び
部分矯正では基本的に歯を大きく動かしません。そのためガタガタの歯並びで抜歯を必要とするケースの場合、歯を大きく動かすことが必要となるため部分矯正ではなく全体矯正が行われます。
部分矯正でEラインを整えることはできる?
横顔の美しさを表す指標であるEラインは、骨格的な問題で日本人やアジア人に多いお悩みです。部分矯正で前歯をきれいに並べ、横から見た口元の突出感はかなり軽減されます。
しかし上下の顎が前方へ突出していることにより起こるEラインの乱れは、部分矯正だけで完全に改善するのは難しいでしょう。全体矯正を行い、歯を後方に下げて噛み合わせを整えることでEラインを整えることができるため、部分矯正では限界があります。
部分矯正でも痛みはある?
矯正治療と聞くと、まずは痛みが心配という方も多いのではないでしょうか。矯正治療は装置を付けて力を加え、歯を動かします。そのため当然痛みは伴います。これは部分矯正でも同じで、前歯に力を加えて歯を動かすことで、痛みを感じる方がほとんどです。
ただ部分矯正は前歯だけに力を加えるため、奥歯には痛みを感じることはあまりありません。そのため矯正治療に伴う痛みを感じる範囲は全体矯正よりも少ないと言えます。
また痛みがあるときは、痛み止めを飲むことで症状を緩和することができますので、我慢せずに痛み止めを服用して過ごしましょう。
部分矯正でも後戻りは起きる?
矯正治療後に多いのが、後戻りです。せっかく歯並びをきれいに整えたのに、後戻りが起きてしまうとせっかくの時間と費用が無駄になってしまいます。
この後戻りは、部分矯正でも起こります。矯正治療は歯が元の位置に戻ろうとする性質があるため、部分矯正であっても後戻りする可能性は当然あります。
後戻りしないようにするためには、リテーナーを必ず装着することです。リテーナーを装着することで、キレイに整えた前歯の後戻りを防ぐことができることを知っておきましょう。
部分矯正の特徴を知っておきましょう
部分矯正を始める前に知っておくべきことについてお話いたしました。部分矯正は費用を抑えて気になる前歯だけをきれいに整えることができる反面、症例が限られているため理想とする歯並びに近づけないことがあることをまず理解しておきましょう。
まずはご自身の歯並びが部分矯正で対応できるかどうか、良い歯科医院のもとで相談してみてくださいね。
コラム監修者 :にしお歯科院長 西尾裕司
大阪大学歯学部を卒業後、医療法人江坂歯科医院に勤務、翌年院長に就任する。その後、大阪府の歯科医院にて 5年間勤務。その後、平成18年に「千里中央 にしお歯科(大阪府豊中市)」を開院。