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セラミック矯正とは?歯を動かさないことのメリット・デメリット
歯並びの乱れにお悩みの方の中でも、特に前歯のガタつきに悩む方は多いのではないでしょうか。前歯は人の視線が最も気になる部位であり、審美面を大きく左右するパーツです。
前歯の歯並びの悪さには色々あります。歯列矯正を行うのが最も一般的な治療法ですが、中には「セラミック矯正が気になる」という方もおられるのではないでしょうか。ではセラミック矯正とは、どのような特徴があるのでしょうか。またリスクについてもお話いたします。
セラミック矯正のメリット
歯列矯正は、矯正装置を歯に装着して歯並びや噛み合わせを改善します。矯正装置を付けることで持続的に歯に弱い力を加えながら歯を動かして、歯並びを少しずつ改善します。
いっぽうセラミック矯正は矯正装置を歯に付けず、数本繋がったセラミックの補綴物を被せて歯並びや歯の形を整える治療法です。矯正治療と違って短期間で改善することができるため、「クイック矯正」と呼ばれることもあります。
一般的な歯列矯正は、物理的な力を使ってゆっくりと歯を動かします。そのため部分矯正でも半年くらい、全体矯正の場合は2~3年という長い月日がかかります。
セラミック矯正は歯を動かすことはありません。そのため最短で20日くらいで歯並びを変えることができるんです。
セラミック矯正のデメリット・リスク
矯正治療のネックのひとつに、治療期間が長いことが挙げられます。セラミック矯正は短期間で気になる歯並びを整えることができますが。非常にリスクが大きい治療法でもあるのです。ではセラミック治療のリスクはいったい何でしょうか。
1.健康な歯をたくさん削らなければいけない
セラミック矯正は、健康な歯をたくさん削り、何本か繋がったセラミックのブリッジを被せる治療法です。このセラミックブリッジを被せる際に、歯をたくさん削って土台にする必要があります。
多少歯並びが悪くとも、健康な歯を削って小さくなった歯は、将来的に歯の健康に影響が出てしまう可能性があります。歯の表面のエナメル質を多く削ると、象牙質という組織が露出し、しみるなどの症状が起こりやすくなります。
また象牙質は虫歯になりやすく、セラミックの被せ物の精度が良くないと、すき間から虫歯菌が入り込んでむし歯になるリスクが高まってしまいます。
2.神経を抜くことがある
通常神経を抜く治療とは、むし歯が神経まで汚染している場合や、歯を折ってしまって歯の神経が露出し、残念ながら神経が死んでしまった場合などです。
セラミック矯正は、歯を削る必要があります。その際、歯がしみるなどの症状が出た場合、神経を取り除く処置が行われることが考えられます。神経を取った歯は血液や栄養素などが送られないため、歯質が脆くなって歯が割れるなどの危険性が高まります。
3.歯にトラブルが起きると大変
もし土台となる歯にトラブルが起きた場合、せっかく被せたセラミックブリッジを全て外さなければいけません。トラブルが起きた歯の治療を行い、再び型取りを行う必要があります。
また歯が折れてしまっている場合、残念ながら歯を抜かなければいけません。神経を取った歯は脆くなり、負荷がかかることで歯や根が割れてしまう恐れがあり、割れてしまったら抜歯になります。
抜歯後は再度セラミッククラウンの作製や抜歯した部分にインプラントを入れるなど、治療が必要になります。
4.歯ぐきが下がり、歯と歯の境目が目立つことも
若いうちはそれほど心配はなくても、加齢とともに歯ぐきがだんだん下がってきます。セラミックブリッジを被せてある部分の歯ぐきが下がると、歯と被せ物の境目が露出し、審美面を大きく乱します。いちど下がった歯ぐきは元に戻すことができません。
矯正治療なら自分の歯なので、歯と歯ぐきの境目が目立つこともありません。
自分の歯を動かすことが歯の健康維持に
セラミック矯正(クイック矯正)の危険な点をご紹介しました。セラミックは白く美しく口元を彩ってくれます。またセラミックを削ることで微妙な歯の大きさを調整することができます。
しかし、健康な歯を削ることでその後の歯の健康維持に対し、様々なリスクを背負うことになります。通常の矯正治療よりも費用が抑えられ、しかも短期間で理想の前歯が手に入ると聞くと、とても興味を引くかもしれません。
確かに歯列矯正は費用が高く、治療期間も長くなってしまいます。しかし目先の美しさは、数年後に大きな代償となって帰ってくる可能性が否定できません。
セラミック矯正と比べて費用や時間がかかっても、ご自身の歯で噛めること。これがいちばん大切なのです。目先の美しさだけにとらわれず、なぜ歯並びを矯正治療で治すことが大切なのかをよく理解しておきましょう。特に前歯だけのガタツキは、部分矯正で治療できることがあります。部分矯正なら低コスト、短期間で歯並びを治すことができるため、自分の歯並びが部分矯正で対応できるかどうか、専門医に相談してみましょう。
コラム監修者 にしお歯科院長 西尾裕司 大阪大学歯学部を卒業後、医療法人江坂歯科医院に勤務、翌年院長に就任する。その後、大阪府の歯科医院にて 5年間勤務。その後、平成18年に「千里中央 にしお歯科(大阪府豊中市)」を開院。